★SJ指導者Can-do Statementsは、下記の助成金を得て開発されました。
(1)『外国人労働者の定着促進のための協働型受け入れ環境の構築」』 文部科学省科学研究費補助金研究基盤研究(B)(一般)研究代表者:近藤 彩 課題番号:20H01274(2020-2024)
(2)『外国人材と組織の変革を支援する対話型ビジネスコミュニケーション研修モデルの構築』文部科学省化学研究費補助金研究基盤研究(C)(一般)研究代表者:金 孝卿 課題番号:20K00736(2020-2024)
(3)『外国人労働者の定着と協働を目指す受け入れ環境の構築』 文部科学省科学研究費補助金研究基盤研究(B)(一般)研究代表者:近藤 彩 課題番号:17H02354(2017-2021)
SJ指導者とは?
国内外で働く外国人が増える中で、この分野の日本語教育・研修に 携わる専門家が必要とされています。このような専門家を「就労者に対する日本語教育指導者(略称:SJ指導者)」と呼びます。SJ指導者には、日本語教育だけでなく、企業活動とコミュニケーション教育に関する幅広い分野の知識や経験、そして、異なる立場の人々と信頼関係を築き、協働して教育実践や研修が実施できる力が求められます。そこで、SJ指導者に求められる力を可視化するために、SJ指導者Can-do statementsを開発しました。
プロジェクトリーダーの役割
SJ指導者は、個別の教育・研修を一つのプロジェクトとするならば、プロジェクト・リーダー(指導者)に該当します。日本語教師だけでなく、企業人もSJ指導者になり得ると考えます。「自分の専門は日本語教育だから企業のことはわからない」、「自分は企業人で語学教育のことは素人なので専門家にお任せしたい」といった考え方をするのではなく、「自分の専門性を活かし、ほかの部分は協働によりプロジェクトの目標を達成できるように導く」それがSJ指導者です。SJ指導者には3つの視点が必要です。
① コミュニケーション教育の視点
多様な人々が共に働く職場のコミュニケーションの円滑化をはかるため、コミュ二ケーション教育としての日本語教育プログラムを立案、実施、運営する視点です。このコミュニケーション教育とは、単に日本語の口頭表現能力の教育を指しているのではありません。職場で日本語を用いて課題を遂行したり、問題があれば解決したり、人間関係を構築したりしていく能力です。日本人に対する研修も含まれます。
② 企業研修の視点
それぞれの業種、職務で求められるコミュニケーションを分析し、企業活動の流れの中で効率よく研修を実施するための視点です。
③ 日本語教育
職務に取り組みながら日本語力をつけていくためにどのような学習方法が効果的か、日本語の特徴や語学の運用力に関する課題などを分析できる視点が必要です。
SJ指導者には、学習者、就職支援関係者、企業関係者ら、それぞれが置かれた状況を把握し、必要に応じて協働しながら、個別の現場に最適な教育・研修を提供する力が求められます。
SJ指導者Can-do statementsとは?
SJ指導者Can-do statementsは、SJ指導者に求められる能力を記述したものです。7つの分野(職務、環境デザイン他)に分けて、合計33の「主要Can-do項目」を示しました。さらに、各項目を理解するための情報として「詳細(下位項目)」と「チェック教材」も示しました。
記述の際に、「理解できる」「把握している」「できる」という表現を、次の意味で使いました。
《理解できる》
その項目に関する情報を読んで、概要を理解できる程度の知識がある
《把握している》
SJ指導者として活動を計画、実施する上で前提となる知識がある
《できる》
SJ指導者として十全にできる
SJ指導者Can-do statements
7分野主要33項目
《Can-do statements詳細》
クリックすると下位項目を見ることができます。
《チェック教材》
クリックするとチェック教材を見ることができます。
できるかどうかのチェックや、必要な分野を学ぶための教材として利用できます。
本ウェブサイト上では、考え、試行してみるための問いや提案を提供しています。さらに学びを深めたい方のために、研究会やワークショップによる「学びの場」を提供します。
自己評価してみよう
33項目をチェックすることで、指導者としての能力を自己評価することができます。自己評価は、SJ指導者の専門性について整理し、現在の自分の能力を自分で把握することを目的としています。
分野7の下に「自己評価表」のモニター調査のご案内があります。グーグルフォームによる調査にご協力いただいた方には自己評価をメールでお送りします。
分野1.背景
1 企業活動に関する社会・経済的背景を理解できる
2 就労者のおかれた社会的状況を理解できる
3 就労者に対する日本語教育の在り方を理解できる
4 企業の活動の概要が理解できる
分野2.職務
5 学習者の職務の概要が理解できる
6 学習者の業務環境が理解できる
分野3.言語教育
7 音声の学習をデザインすることができる
8 語彙の学習をデザインすることができる
9 表現、談話展開の学習をデザインできる
10 評価方法及び基準を選定できる
11 学習者の日本語力を判定できる
12 適切な学習項目を選定できる
13 適切な教材の選定・作成ができる
14 適切な教室活動を計画・実行できる
15 タスクデザインができる
分野4.異文化
16 職場における異文化間問題が理解できる
17 職場における異文化間問題への解決策を検討できる
分野5.コースデザイン
18 日本語研修のニーズ分析のために、企業と情報収集のための意思疎通ができる
19 ニーズ分析に基づいて、日本語教育・研修の目標設定ができる
20 日本語教育・研修の実施計画をたてることができる
21 コースの概要を関係者にわかるように説明ができる
22 就職支援に特化したコースデザインができる
23 企業研修のコースデザインができる
24 個人の学習者の職務遂行に特化したコースデザインができる
25 個人の学習者の職務遂行に特化したコースデザインができる
分野6.環境デザイン
26 業務環境のデザインができる
27 日本人社員に対する助言・研修ができる
分野7.コース運営
28 コース実施中の運営管理ができる
29 日本語研修の評価ができる
30 企業のニーズに合わせた研修デザインができる
31 日本語研修事業の評価・改善ができる
32 日本語研修の報告が書ける
33 「指導者コミュニティ」に参加/運営できる
モニター調査に
ご協力ください
SJ指導者Can-do Statementsの自己評価モニター調査にご協力ください。
SJ指導者Can-do Statementsとタスク教材の研究開発は以下の科学研究費の助成を受けて実施しています。
研究の詳しい情報はこちら⇒
よりよい成果を目指し「自己評価表」のモニター調査(オンライン)を実施しています。就労者に対する日本語教育やビジネスコミュニケーション教育に関わっていらっしゃる方、関心のある方はぜひモニター調査にご協力ください。