チェック教材

各項目が備わっているかどうか確認するための課題です。また、課題をこなすことで実際に必要な力を身につけていくことができます。

1.背景


SJ(就労者に対する日本語教育)こ分野は様々な知識必要で、できるだけ多い方が望ましいです。しかし、知識があることが前提ではありません。今、多くの知識がなくても、未知の概念を調べて知る方法を身につけることで、次第に増やすことができます。そのように得た厚みのある情報をSJの立案や実施に活用できるようになることが大切です。

1.企業活動に関する社会・経済的背景を理解できる


課題1 説明できますか。

次の用語を説明してください。
1)WTO
2)SDGS
3)DX
4)日本型雇用システム
5)規制改革

このような概念は、ニュースで目や耳にしたことがあるものが多いと思います。しかし、ほかの人に説明するとなると難しいものです。説明できないと思った項目については、事実情報や正確な名称等を確認し、簡潔に説明してみましょう。
また、まったく未知の概念である場合は、どうすればその概念の意味や使われ方を知ることができるのか、工夫して調べていきましょう。

学び方のポイント

この課題の目的は、単に知識を得て学習者にわかりかやすく説明できるようになることではありません。目的は、調べて説明できるようになるというプロセスで、次のことを観察し、理解を深めることです。
・未知の概念を知るプロセスとはどのようなものか
・「聞いてわかること」と「人に説明できること」はどのように違うのか
・「説明できるようになる」ためには、どのようなことをする必要があるのか
このような課題に取り組むことで、学びのプロセスに触れることができ、副次的に知識も増えていきます。


課題2 話し合ってみましょう。

課題1で挙げた用語を一つ選んで、それに関する現在の日本企業の状況について話し合ってみましょう。サラリーマンの飲み会のような気軽な雰囲気でよいと思います。話し合う相手がいない場合は、現状、自分のコメントや疑問を書き出してまとめてみましょう。

学び方のポイント

企業人である学習者と信頼関係を築くには、企業の置かれた状況について社会人としての見識が求められます。企業の現状については、学習者が当事者ですから、それ以上の知識を持つ必要はありません。当事者が持つ知識、求める知識を共に検討していくための基本知識と情報収集の方法を身につけておくことが大切です。日本企業一般について(あるいはある企業について)おかれた状況を説明する作業をすることで、それを身につけることができます。

2.就労者の置かれた社会的状況を把握している


課題1 説明できますか。

次の用語を説明してください。
1)在留資格
2)技能実習生
3)特定技能
4)EPA介護福祉士
5)高度人材ポイント

なぜ日本企業は外国人の就労者を必要としているのでしょうか。日本には移民制度がありません。そのような中で外国人を受け入れて就労できるようにするために多様な制度が設けられました。
外国人、あるいは外国にルーツのある人々の日本での就労や技能研修は1990年に実施された入管法の改正によって大きく拡大しました。それ以後の現在に至るまでの流れの中で、これらの用語の意味を理解してください。

学び方のポイント

SJの専門家として、この分野はしっかりと把握している必要があります。担当する対象者のおかれた状況を専門家として把握し、ステイクホルダーに情報提供や助言ができるようにしっかりと学びましょう。


課題2 やってみましょう。

日本における外国人就労者の問題について、経緯や現状を説明する簡単なプレゼンテーションを準備してください。
対象:この分野についてあまり知らない日本人の社会人、学生など。

学び方のポイント

専門家として把握するには、「理解してもらうための説明」や「理解を深めるための議論をリードする」活動が役に立ちます。この活動は実際にやってみるのが最も効果的です。身近な人を対象にぜひ実行してみてください。

3.就労者に対する日本語教育の在り方を把握している


課題1 説明できますか。

次の違いを説明してください。

1)「語学ができること」と「コミュニケーションができること」
2)「語学の指導」と「コミュニケーションの指導」

学び方のポイント

企業担当者は、「語学ができる、できない」「コミュニケーションができる、できない」と表現することがあります。意味することを確認し、自分自身で用語を整理し、何を目指すのか、どのような方法をとっていくか考えていく必要があります。
外国語の学習には多様な方法があります。それぞれの方法には背景となる理論もあります。一般的な日本語の教科書が示す方法や自己の外国語学習経験からの思い込みだけで方法を選ぶのは危険です。就労者に対する教育・研修現場では自分で最適な方法を選び、あるいは生み出す力が求められます。方法を幅広く把握するための第一歩として1)と2)を違いと関係の観点から考え、整理してみましょう。



課題2 説明できますか。

次の考え方を説明してください。
1)行動主義の考え方
2)認知主義の考え方
3)構成主義の考え方

学び方のポイント

多様な学習方法の背景には、学習に対する考え方(学習観)があります。これらの学習観について、基本的な考え方を知り、自分自身の学習経験を振り返りながら理解を深めてください。


課題3 考えてみましょう。

就労者に対する日本語教育において、適切な教育・研修を立案、実行する上で重視すべきことは何だと考えますか。自分の意見をまとめてみましょう。

学び方のポイント

就労者に対する日本語教育の目的は、日本語で職務が遂行できるようになることです。実際にどのような教育・研修が役立つかは、学習者自身と周囲の環境によって常に変わります。そのため、SJ指導者には常に状況判断が求められます。就労者が学ぶとはどういうことか、自分自身の問い考えを言語化してみましょう。

4.企業の活動の概要が理解できる


課題1 調べてみましょう。

特定の企業の活動について情報を収集するにはどのようなリソース・方法がありますか。

学び方のポイント

企業の情報を得る方法はたくさんあります。ネット上でも就活や投資関係の資料がたくさん見つかります。ニュースなどで話題になった企業について実際に調べてみるとよいでしょう。


課題2 説明できますか。

次の用語を説明してください。
1)業態
2)川上と川下
3)間接部門

学び方のポイント

どの用語も業種を問わず企業の初任者研修などでよく使われることばです。使い方の例を挙げて説明してみましょう。