1.背景


SJ(就労者に対する日本語教育)の指導者としてSJの背景を知っておく必要があります。
何をどのように知っておくべきなのか、どのようなスキルが必要なのか、次の項目で確認してください。

SJ指導者Can-do statementsでは「理解できる」「把握している」「できる」を次の意味で使っています。

《理解できる》
  その項目に関する情報を読んで、概要を理解できる程度の知識がある

《把握している》
  SJ指導者として活動を計画、実施する上で前提となる知識がある

《できる》
  SJ指導者として十全にできる

1.企業活動に関する社会・経済的背景を理解できる

□ 1.1 企業活動を取り巻く社会情勢・国際情勢を理解できる
□ 1.2 経済新聞等を読んで、経済・企業の状況を理解できる
□ 1.3 各種メディアを利用して情報収集ができる

SJ指導者には、企業活動と外国人の就労環境整備に関わる様々なステイクホルダーと信頼関係を築き、円滑かつ建設的に仕事を進めていく力が求められます。
グローバル化する企業活動、人の移動に関する情報にアンテナを伸ばし、実際に担当する現場の状況を把握するための素地を備えておきましょう。

2.就労者のおかれた社会的状況を理解できる

□ 2.1 グローバル人材、ブリッジ人材等のキーワードを把握している
□ 2.2 留学生、外国人の就職に関する日本の制度、就職状況を把握している
□ 2.3 企業と外国人の就労者に間に生じやすいギャップを把握している

外国人材の積極的活用が進んできたプロセスで、企業が外国人材に求める役割が明らかになりました。彼らが日本社会に定着しやすい環境作り、制度の拡充も進んでいます。また、そのような中で生じたトラブル事例も蓄積しています。それらの中には、担当する現場に直結するものも少なくありません。常に最新状況を把握し、現場で適切な判断ができるようにしておく必要があります。

3.就労者に対する日本語教育の在り方を理解できる

□ 3.1 言語教育とコミュニケーション教育の違い、関係を把握している
□ 3.2 企業活動とコミュニケーションの関係を把握している
□ 3.3 活動型の教育、行動中心の教育の理論的背景を理解し、方法を把握している

学習者が日本語を学ぶ目的は様々ですが、就労者の目的は「日本語で仕事ができるようになること、すなわち職務遂行」です。その目的を達成するには、職務遂行を支える会社生活、さらには日本社会での生活も円滑である必要があります。
このような目的をもつSJ(就労者に対する日本語教育)の在り方を理解するには、言語とコミュニケーションについて、また多様な教育観について知っておく必要があります。

4.企業の活動の概要が理解できる

□ 4.1 特定の企業の活動を理解するための方法を把握している
□ 4.2 企業活動のサイクル、業務フローを理解できる
□ 4.3 主要な業種、業態について理解できる

企業の活動は様々であるため、すべてを把握しておく必要はありませんが、担当する企業について把握するための方法、前提となる知識は必要です。