チェック教材

各項目が備わっているかどうか確認するための課題です。また、課題をこなすことで実際に必要な力を身につけていくことができます。

3.言語教育(12‐15)


コミュニケーションのための日本語教育を実施するために必要な力を備えているか、確認し、学んでいきましょう。

12.適切な学習項目を選定できる


課題1 考えてみましょう。

次の観点から学習項目の例を具体的に複数挙げてください。

1)文法・文型
2)機能
3)場面
4)話題
5)行動

学び方のポイント

どのような観点から学習項目を立てるかはら、「正確に文を組み立てたり読み取ったりする場合」、「よく使われている伝わりやすい表現を選ぶ場合」など、学習の目的によって異なります。コミュニケーションとしての日本語教育では、どのような観点が学びやすいでしょうか。


課題2 やってみましょう。

次を対象にしたコースの学習項目をできるだけ多く抽出してください。

1)日本に初めて出張するビジネスパーソンのための日本語コース
2)就職活動の準備をするための日本語コース

学び方のポイント

あるコースの学習項目を計画的に配列したものをシラバスと言います。シラバスを作成するための学習項目の観点は一つとは限りません。複数の観点を組み合わせて、最も効率よく学べるコースを考えてみましょう。


13.適切な教材の選定・作成ができる


課題1 調べてみましょう。


ビジネス日本語教育(含職場の日本語教育)をテーマとした教材が数多く出版されています。どのような種類の教材があるのかできるだけ多く調べてみましょう。その中のいくつかを選んで内容や構成も調べてみましょう。

学び方のポイント

教材とは、言うまでもなく紙媒体だけでなくオンライン教材や学習支援システムも含みます。また日本語以外の教材が役に立つこともありますので、幅広く調べてみましょう。

教材リストリンク

課題2 やってみましょう。


12の課題2で作成した学習項目からいくつか選んで教材を作ってみましょう。
学習者のレベルは自分で想定してください。

学び方のポイント

現場のニーズを元にコースを作成する場合は、教材も自分で作成しなければなりません。学習者に合わせて、内容の調整、文字の大きさなど形態の工夫など、実際に作ってみるといろいろな力が求められることに気づきます。また、自分の作成意図が教材を使う人に伝わるか、他の人に使ってみてもらい意見をもらうのも大切です。


14.適切な教室活動を計画、実行できる。


課題1考えてみましょう。

 教室活動には、どのようなものがあるか、挙げてください。それぞれの教室活動は何を目的としたものかを整理してください。

学び方のポイント

 教室活動には、正確さに主眼を置かれたもの、適切さをに主眼が置かれたものなどがあります。例えば、会議の場面では、話すこと、メモをとることなど「技能」を越えて同時進行でいろいろなことが起こっています。それをどのように教室活動に落とし込むかがポイントになります。

課題2 考えてみましょう。

以下のような学習者は、何ができるようになれば、コミュニケーション能力を向上させることができますか。そのためにどのような教室活動が考えられますか。

1)聞き取りや発音が不正確で、コミュニケーションが滞る学習者
2)聞かれたことに対して簡潔に意見を述べることができない学習者
3)日本語力は高いが、相手に誤解を与えがちな学習者


学び方のポイント

 あくまでもコミュニケーション能力を向上させることが目的であり、不正確さがあるからといって、完璧な正しさを目指すわけはありません。また、日本語の文法や発音などが正しくても、職場でのコミュニケーションとしては改善が必要なこともあります。どのような教室活動がコミュニケーション能力を伸ばすことになるのか考えていきましょう。

次のものを参考にしてみましょう。
★Easy Japanese for work
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/ondemand/program/video/easyjapaneseforwork/?type=tvEpisode&
1.#1 Communicating a sense of gratitude
2.#3 Expressing an opinion concisely
3.#21 Asking a shop manager to follow orders from head office

※Easy Japanese for workは、NHK World(国際放送)のアプリからダウンロード可能です。
英語、中国語、ベトナム語版あり(中国語版は「小红书」というアプリからも閲覧可能)。
学習コンテンツが付いていて、自主学習ができます。
 

課題3 話し合ってみましょう。

学習者の主体性を促すために教室活動を行う際、どのような支援が必要だと思いますか。

学び方のポイント

 ここでいう支援とは、教授技術を含むものと考えてください。前提としているものは学習者の主体性です。


課題4 考えてみましょう。

学習者が自分で問題を発見し、それを解決する力を身につけるようにするには、どのような工夫が考えられますか。

学び方のポイント

 『ビジネスコミュニケーションのためのケース学習 職場のダイバーシティで学び合う【教材編1】【教材編2】【解説編】を一読してください。職場で実際に起こったトラブルや摩擦がケース教材とされています。いくつかケース教材を読み、どんな問題が起こっているかをまず理解してみましょう。

15.タスクデザインができる


課題1 説明できますか。

言語教育の方法として使われるタスクの種類とタスク中心の指導について理解を深めてください。


1)TBLT(タスク中心の外国語教授法)について説明してください。
2)目的や学習観の違いによるタスクの種類を整理して説明してください。

学び方のポイント

まず言語教育におけるタスクの考え方について理解を深めておきましょう。


課題2 考えてみましょう。

現実の活動と密着したタスクデザインの方法について理解を深め、作成してみましょう。

1)CEFRの行動中心主義における行動とはどのようなものか調べてください。
2)身近な題材を使って課題達成に至る行動の分析をしてみましょう。
3)上記の行動の分析をもとに連続性のあるタスクを作成してみましょう。

学び方のポイント

現実の課題に密着したタスクを教室活動で実施するには、現実の課題がどのような行動によって達成されるのか観察し記述してみることが大切です。現実の課題達成は、多くの課題が複雑に重なり合って達成されていきます。教室活動でもこれを簡略化することなく実施することで、現実の社会活動で課題達成できる力をつけていくことができます。


課題3 考えてみましょう。

学習者の日本語力に合わせて、課題達成の支援をするにはどのような方法があるか考えてください。


1)タスクの流れの工夫
2)タスクのサイズの工夫
3)教室活動の工夫
3)ワークシートの工夫

学び方のポイント

SJの学習者は、就職活動や企業活動に参加しなければならず、すぐに現実の課題が待ち構えています。日本語教育や研修の役割は、その支援です。事前準備だけでなく、現実の活動と平行して支援する場合もあります。状況に合わせてどのような支援をすることが役立つか、考えてみましょう。