チェック教材
各項目が備わっているかどうか確認するための課題です。また、課題をこなすことで実際に必要な力を身につけていくことができます。
4.異文化
SJ(就労者に対する日本語教育)の現場には、外国人に限らず多様な文化背景をもつ人々がいます。異文化間で生じる問題を理解し、対応する力があるか、確認してください。
16.職場における異文化間の違いや問題を理解できる
課題1 説明できますか。
3つの言葉は日本語教育分野でどのように定義される言葉かいくつかの例を調べて、説明してください。
1)ステレオタイプ
2)文化中心主義
3)文化相対主義
それらと自分の経験を照らし合わせて考えたことをまとめてみてください。一人で学ぶ人はそれを記述してみてください。仲間と学ぶ人は話し合ってみましょう。
学び方のポイント
この課題の目的は、語彙が示す事柄の意味を知ることだけでなく、それらが示す多角的な視野を自分の経験に照らし合わせて自分の中に具体的に落とし込むことです。それは、外国人として働く学習者に接するSJ(就労者に対する日本語教育)指導者には不可欠な視点です。
課題2 話し合ってみましょう。
異なる文化をもつ人が一緒に働く場面で問題が生じ得ることを10個以上挙げてください。周辺の人にインタビューしたり、インターネットで調べたりする等により、事例を持ち寄ってみましょう。
学び方のポイント
この場合の「異なる文化を持つ人」というのは、もちろん外国人と日本人という二国間を指すことができますが、それ以外にも日本企業で働く外国人社員同士や、立場や年齢が異なる日本人同士にも同様の問題は起こります。職場での問題の要因を探り問題解決の糸口を探すことができる人材に育成するために、教師自身も広い視野を持って文化を捉えられるようにしましょう。
課題3 考えてみましょう。
課題2で集めた事例を使って、その原因が何かを考えてみましょう。出された原因を多方面から検討してみましょう。
学び方のポイント
ここで学びたいことは、課題2で集めてきた事例の一つ一つの本当の原因を突き止めることではありません。原因となり得ることを洗い出せるようにしておくことです。SJ指導者がそれをできるようにすることは、学習者自身に問題解決の方法を考えてもらうための働きかけをする際の重要なステップとなります。また、SJ指導者は、課題1で学んだ知識を結び付けて考えることも大切です。課題1に関わる研究や調査もあります。研究成果や調査結果と照らし合わせ、自身の理解を振り返ることで、新たに視野が広がることもよくあります。
17 職場における異文化間問題への解決策を検討できる
課題1 調べてみましょう。
同じ課題を持つ人のネットワークやサイトを知っていることが大事です。まず経済産業省のサイトから外国人の就労に関する情報を探してください。学習者が希望する業種や企業の特徴を調べてみましょう。実際に起こった事例(ケース)を読み、どんな問題が起こっているかを学びましょう。
学び方のポイント
様々な要因から起こる異文化問の解決策を検討するための方略として、同じような現場や課題を持つ人々から情報を得るというやり方があります。SJ指導者は自分の学習者が関連する業界や職種での既にある課題を情報として知っていると良いでしょう。まずはネット上にある情報にアクセスしてみましょう。ケース学習で扱うケース教材は、実際の企業インタビューから摩擦や問題を抽出し作られています。
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課題2 話し合ってみましょう。
学習者が希望する業種や企業の特徴から企業文化の違いを話し合ってみましょう。その業種に関わる人が身近にいたら意見を聞いてみましょう。ケース教材をもとに書かれている問題について周りの人と話し合ってみましょう。
学び方のポイント
課題1で集めた事例や情報の背景にはどのような要因があるのでしょうか。その背景にある考え方や習慣に共通するものがあるかどうかを話し合ってみてください。その作業は実際に学習者が問題を抱えた時にどのように問題解決するかを考えてもらう時に役に立ちます。
課題3 考えてみましょう。
学習者自身が解決策を見出せるようにするために、学習者への問いかけにはどういう注意が必要だと思いますか。
学び方のポイント
課題2で問題の背景には様々な要因が考えられることがわかったと思います。問題解決の鍵となる要因が何であるか特定する方法はなく、状況に合わせて考えられることの一つ一つに対して、学習者自身が選択し対処していく力が必要になります。従ってSJ指導者の仕事は、学習者にこの力をつけてもらうことです。あくまでも学習者が自分自身で問題解決ができるようになるために、SJ指導者は、どんな問いかけをして問題解決を促していけばよいのか考えてみましょう。