チェック教材

各項目が備わっているかどうか確認するための課題です。また、課題をこなすことで実際に必要な力を身につけていくことができます。

5.コースデザイン(18-21)

SJ(修了者に対する日本語教育)指導者には、適切にニーズ分析ができる力が求められます。ニーズに関する情報は、どこからどのように得ることができるのか、効率よくニーズを収集し、分析するにはどのような方法があるのか、といったことについて知っておきましょう。

18.日本語教育・研修のニーズ分析ができる                                                                      

課題1 考えてみましょう。

ニーズ分析のためには、どんな情報が必要でしょうか。書き出してみてください。そして、それら情報を得るためには誰に聞けばいいか、対象者別に整理してみましょう。


学び方のポイント 

職場における日本語研修は誰のためのものでしょうか。研修には学習者だけでなく企業の研修担当者をはじめ、多くの人々がステークホルダーとしてかかわっています。立場が異なれば異なったニーズが出てくるでしょう。それら研修に関わる人々のニーズを抽出するための情報を収集することも大切です。。

 

課題2 やってみましょう。

ニーズ分析のために把握しておきたいことが整理できたら、実際に調査するための質問票を作ってみましょう。アイディアがわかない場合は周囲の経験者に聞いてみましょう。

 

学び方のポイント 

 知りたいことが多くても、情報収集に膨大な時間をかけることはできません。実際に対象別に質問票を作り、どのような順序で調査をすると効率的か考えてみましょう。


課題3 話し合ってみましょう。

周囲に学び合う仲間がいる場合は、課題1と課題2で取り組み作成した質問票、調査計画を持ち寄り、お互いに検討してみましょう。自も分が立てた質問項目と他の人が立てた項目は同じでしょうか。違っている場合は、なぜその質問が必要だと思ったのか、考えを述べましょう。されに、複数お対象者から得た情報をどうまとめていくかも検討してみるとよいでしょう。

学び方のポイント

実際にニーズ調査をする場合、調査対象から協力を得られる時間は限られています。調査が終わってから、情報に洩れが見つかったり、調査内容が重複したりすることがないようによく検討してみることが大切です。


19 ニーズ分析に基づいて日本語教育・研修の目標設定ができる

 

課題1 説明できますか

1)CEFRのB1とは、具体的にどのような日本語力ですか。
2)在留資格「特定技能」に必要とされる日本語能力の目安とは具体的にどのようなものですか。
3)BJTビジネス日本語能力テストにおけるJ2とは、具体的にどのような日本語力ですか。

学び方のポイント

 言語教育のガイドラインや指導要領が決められている教育機関とは異なり、SJ(就労者のための日本語教育)の場合は、ニーズやレディネス、目標言語行動調査の結果・分析から研修の目標を設定し、研修の実施計画を立てていくことになります。研修の目標を設定する際に必要なレベル記述や基準、参照枠にはどのようなものがあるか、情報収集をしておきましょう。


課題2 やってみましょう。

自分にとって内容を把握しやすい職務について、研修の目標を設定し、職務遂行の能力記述文(「~ができる」)の形式で書いてみましょう。

学び方のポイント

ここでは、まず、学習者の日本語力を考えず、職務として求められている目標(職務遂行力)を明らかにしましょう。その上で、その職務を遂行するためには日本語でどのようなコミュニケーションをする必要があるのかを考えましょう。

研修の目標をビジネス遂行力、「〜できる」文として書いてみましょう。

手順

 「フロント業務としてお客様に対応することができる」


 ①この活動に関連するコミュニケーション言語行動を抽出してみましょう。
 (言語要素・非言語要素いずれも含む)

 例:お客様と目があったら、会釈し一言挨拶する。(やりとり・社交的なやりとり)

 ②行動を抽出した後、頻度と優先度に注目して並べ替えてみましょう。

 ③それから目標を設定してみましょう。


課題3 考えてみましょう。

1)課題2で設定した目標を一つ選び、その達成に必要なコミュニケーションを学習者が一人で達成するために最低限必要な日本語レベルをCEFRにより判定してください。
2)学習者が一人で達成可能なレベルに達していない場合、どのような条件(支援、限定等)があれば達成可能か、「条件付きの能力記述文」を書いてください。

学び方のポイント

学習目標の設定には2つの観点があります。一つは、当該の職務を遂行するための一般的な能力。もう一つは、日本語力の不足を補う工夫をして遂行が可能な能力です。SJにおいては後者が重要です。なぜなら、本来、職務遂行力は、現場で身につけるものだからです。完全に自立して職務が遂行できるようになっていなくても、支援を受けながら、あるいは限定的な状況から次第に十全に参加することを目指せるように段階的な目標を設定することが大切です。




20 日本語教育・研修の実施計画を立てることができる


課題1 考えてみましょう。

1)19-課題2、3で考えた、研修の目標、目標とする職務遂行(言語行動)、到達レベルをもとに、目標に合った学習項目を考えてみましょう。
学習項目を考える際には、語彙・表現といった言語知識に関わる部分以外にも、言語行動に関わる部分、他にはコミュニケーション方略などを考慮する必要があるでしょう。


2)1)で考えた研修内容に必要な教材を考えてみましょう。

学び方のポイント

 ニーズを把握し、それを基に到達目標を設定したら、次はその達成へ至るための学習の流れを考えていきます。時には、研修を行う方法そのものの開発も必要になるかもしれません。どのような活動をどのような順序で行うか、そのためにどのような教材や教具が必要か、具体的に考えてみましょう。


課題2 やってみましょう。

研修の実施計画書を作成してみましょう。
課題1で考えた「研修目標」「研修内容」「教材」に加え、「評価方法」「企業への報告方法」も盛り込み、「実施計画書」として作成してみましょう。

学び方のポイント

実施計画書では、課題1で考えた内容を一定の時間・期間の中でどのように実施されるのかを示す必要があります。コースはどのようなユニットで構成されるのか、それぞれのユニットの役割は何か、そこでの教師や学習者の役割(責任)は何かなどをよく検討し、それらをうまく可視化する方法を考えてくださいま。

21 コースの概要を関係者にわかるように説明することができる


課題1 やってみましょう。

20で作成した研修の実施計画を具体的な関係者を想定して説明してみましょう。

学び方のポイント

 SJ(就労者のための日本語教育)指導者は、コースの概要をコースに関わる全ての関係者にわかるように説明する力が求められます。相手によって、共有済の情報や知りたい内容に違いがあります。それを想定してそれぞれ適切な説明ができるように留意しましょう。