チェック教材
各項目が備わっているかどうか確認するための課題です。また、課題をこなすことで実際に必要な力を身につけていくことができます。
5.コースデザイン(22‐25)
SJ(修了者に対する日本語教育)指導者には、適切にニーズ分析ができる力が求められます。ニーズに関する情報は、どこからどのように得ることができるのか、効率よくニーズを収集し、分析するにはどのような方法があるのか、といったことについて知っておきましょう。
22.就職支援に特化したコースデザインができる
課題1 考えてみましょう。
自分にとって仕事とは何かを考える方法にはどのようなものがありますか。考えてみましょう。
学び方のポイント
就職活動のプロセスでは自分の考えを明確に伝えることが求められます。そのために学習者は、まず自分の考えを明確にし、自己分析等をしておく必要があります。
学習者はどのような立場、状況で就職活動をしているのでしょうか。SJ指導者として、まず、様々な立場の学習者をできるだけ多く想定してしてください。それぞれの立場の学習者に「自分にとっての仕事とは何か」を共に考える方法を考えてみましょう。学習者の置かれている立場はさまざまで、やりたい仕事や好きな仕事に必ずしも就くわけではありません。SJ指導者が誰を支援するかによって助言の仕方やコースのデザインも異なりますので、留意しましょう。
課題2 調べてみましょう。
就職先を探すにはどのような方法がありますか。
1)新卒の場合
2)既卒、社会人の場合
学び方のポイント
就職活動は、企業の採用プロセス、情報 を知ることから始まります。まず実際に調べてみましょう。次にそれぞれの学習者に必要な情報を整理しましょう。
なお、日本の企業は、ジェネラリストを求めるところもありますので、学習者が描いているキャリアパスと一致しないこともあります。複数の業務(部署)を経験することが、将来管理職になった際に必要だと考えられているからです。企業の考え方はさまざまですので、就職説明会やOB/OGなどに質問し確認することが大切であることも伝えておきましょう。
課題3 やってみましょう。
就職活動で生じる場面にはどのようなものがあるでしょうか。2つに分けて行動を分析をしてください。
1)応募企業の選定から面接まで
2)採用面接から入社まで
学び方のポイント
外国人の場合は、日本人とは異なる状況が生じる可能性があります。留意するべき状況を把握しておきましょう。
課題4 やってみましょう。
次を教材にした教室活動を考えてください。
1)求人票
2)エントリーシート
3)履歴書
4)職務経歴書
課題5 考えてみましょう。
次のような外国人就労希望者が相談に来ました。適切なアドバイスを考えましょう。
1)理系出身の就職希望者が相談に来ました。日本語力は初級レベルです。
2)定住者で再就職を希望している外国人が就職相談に来ました。
課題6 やってみましょう。
課題3で行った行動分析をもとにコースを作ってみましょう。
1)新卒の就職活動をする留学生のコース
2)求職中の社会人のための就職準備コース
23 企業研修のコースデザインができる
課題1 説明できますか。
次の研修について、具体例を挙げながら説明してください。
1)職種別研修
2)階層別研修
日本企業の新入社員教育の特徴はどのようなものか、調べてみてください。また自分の経験と照らし合わせて、周囲の人と話し合ってみましょう。
学び方のポイント
企業研修(社内研修)として実施される日本語研修を、企業はどのように捉えているのでしょうか。実際に企業研修を担当した場合にそれを知るためには、日本企業の新入社員教育(研修)、また社員に対する研修の特徴を知っておく必要があります。その上で、担当した企業の研修に対する考え方や実施実績を知り、日本語研修の位置付けを理解できるようにしましょう。
課題2 調べてみましょう。
日本企業は新入社員をどのように教育しているのでしょうか。自分自身の経験や周囲の人にインタビューをして、具体的な企業について調べてみましょう。
学び方のポイント
新入社員といっても新卒、中途採用によって研修内容は違います。どちらの場合も、企業が新人をどのような戦力に育てていこうとしているか、いくつかの事例を把握しておきましょう。これにより、それぞれの職務にどのようなコミュニケーション力が求められているのか、理解することができます。
課題3 考えてみましょう。
課題1と課題2で学んだ日本企業の研修と、そこに参加する場合に必要な「日本語によるコミュニケーション力」との関係を考えて整理してください。
学び方のポイント
企業研修としての日本語研修の目的は、直接職務遂行あるいはその職場への参加だけでなく、研修への参加である場合もあります。
研修の内容(話題)だけでなく、「聞く」「読む」「書く」「話す」「やりとりをする」といった技能がどのように求められるかについても把握しましょう。
課題4 やってみましょう。
18-21及び上記の2つの課題で学んだことを元に、企業研修のコースデザインをやってみましょう。
実際に教える可能性のある企業、職種があれば、それについて考えてください。ない場合は、自分で想定してください。
学び方のポイント
この課題にどのように手をつけていいのかわからない場合は、18から23の課題を見直し、どのような手順で考えればよいか、もう一度整理してみましょう。
24 個人の職務遂行に特化したコースデザインができる
課題1 考えてみましょう。
職務を遂行する上で、日本語力に次のような問題がある学習者に対してどのような指導をするべきか考えてください。
1)ホテルのフロント担当
慣れた業務であれば問題ないが、不慣れな、あるいは複雑な内容を客に対して敬語を用いて説明しようとすると、構成が乱れ、誤りも多くなるためわかりにくくなる。
2)技術者
打ち合わせや会議において話の流れについていけないことが多い。周囲の日本人は忙しそうで、質問や確認もしづらいという状況に置かれている。
参考:Easy Japanese for Work しごとのにほんご ♯ 22「きっかけをつかんで発言することができる」
3)メーカーの営業担当者
話し方は流暢だが、いわゆる学生言葉が抜けず、ビジネスの場にふさわしい話し方しかできない。
4)IT技術者
話が冗長で、言いたいことを正確に理解するには、聞き手からの確認などのやりとりを必要とする
参考:Easy Japanese for Work しごとのにほんご ♯3 “Expressing an opinion concisely”
5)機械の営業担当者
雑談の機会があるものの、相手との距離を縮めることができなくて困っている。
参考:Easy Japanese for Work しごとのにほんご ♯25 雑談で相手との距離を縮めることができる
学び方のポイント
このような問題は、日本語の指導(語彙力や文法力の強化や適切な表現方法を示す等)だけではなかなか解決しない場合は多いと思います。まず何が問題なのかをよく考えてみましょう。その上で、今置かれている状況でどのように指導、あるいは助言をすればよいか考えてみましょう。
「コミュニケーションストラテジー」、「周囲の日本人への働きかけ」等も視野に入れて、考えてください。第二言語を用いて雑談することはなかなかむずかしいものです。相手との共通項を見出す、興味を示しながら質問をしていくなど、実際に学習者と「雑談」をしながら指導してみましょう。
課題2 やってみましょう。
課題1で考えた学習者の問題点を想定し、以下の点について企業の担当者にコースデザインの提案書を作成してください。
1)現在の学習者の問題点
2)対応策(コースデザイン)
学び方のポイント
社員教育の場合は、常に企業と連携して進められることが大切です。コースデザインの内容を企業側に適切に伝えられる力を備えておく必要がありあす。
課題3 考えてみましょう。
課題1と課題2で学んだ日本企業の研修と、そこに参加する場合に必要な「日本語によるコミュニケーション力」との関係を考えて整理してください。
学び方のポイント
企業研修としての日本語研修の目的は、直接職務遂行あるいはその職場への参加だけでなく、研修への参加である場合もあります。
研修の内容(話題)だけでなく、「聞く」「読む」「書く」「話す」「やりとりをする」といった技能がどのように求められるかについても把握しましょう。
25 ビジネススキル別の指導ができる
課題1 考えてみましょう。
1)求められるコミュニケーション力が異なると思われる多様な職種を挙げ、それぞれに求められるコミュニケーション力を記述してください。
2)共通点と相違点を整理してください。
学び方のポイント
職種に求められるコミュニケーション力を記述してみると、職務遂行という観点からの共通項や相違点が見えてきます。例えば、コンビニの店員と建設現場の作業員のコミュニケーションでは、共通項はあるでしょうか。あるとすればどのような項目でしょうか。これらを自分で考え把握しておくと、コースデザインをする際、学習目標の優先順位等の判断がしやすくなります。
課題2 やってみましょう。
課題1で把握できた共通点を強化するための指導案を考えてみましょう。
学び方のポイント
どの職種にも共通に必要とされるコミュニケーション力の指導法を確立させておくと、コースデザインをする上で対象ごとに求められる新たな調査に力を注ぐことができます。現場に参加できる力を育てましょう。
課題3 やってみましょう。
課題1で把握した相違点を強化するための指導案を考えてみましょう。
学び方のポイント
相違点は、職種の特徴、さらには企業の特徴などが表れる点です。どのように情報収集が可能か、また企業の協力を得られるかに重点を置いて指導案を考えてみましょう。